野田洋次郎さんはロックバンドRADWIMPSのボーカル&ギターのフロントマン。
映画『君の名は。』や『天気の子』の音楽を手がけ、日本を代表するミュージシャンとしての地位を確立していますが、最近では俳優としてドラマや映画にも出演されています。
演技もとても自然体で、演技経験が少ない人とは思えません。
今までどんな作品に出演してきたのでしょうか?
また、野田洋次郎さんは山田洋次監督の現場を経験してから心境の変化もあったそうです。
”野田洋次郎さんがなぜ俳優をするのか?”
詳しく見ていきましょう。
野田洋次郎はなぜ俳優をするのか?

近年、俳優としての活躍もますます注目を集めている野田洋次郎さん。
音楽家として、自らの内面と向き合い、言葉やメロディを紡いできた野田洋次郎さんにとって、俳優業は自分の“外側”を意識する場でもあるといいます。
「音楽は基本、スタジオや密室の中で、ひたすら自分の“内側”と格闘している感じ。一方の役者業は、“初めまして”の人たちと一緒に面白いものを作っていくという、自分の“外側”を意識するもの。内側と外側が入れ替わり、どちらもものづくりにつながっていくことが、面白いなと思っています」
引用:映画.com
新しい役柄や人間の感情を体感することが、野田洋次郎さんの音楽にも新たな刺激を与えたのだそう。
「自分ひとりの人生だけでは、生まれてくる感情にも限りがある。俳優業を通して、物語や、その中で生きている人間の感情に触れると、湧き上がってくるものがある。新しい音楽が作りたくなる」
引用:映画.com
実際に撮影現場で得た感情が、そのまま楽曲として結実することも多いとか。
映画『キネマの神様』の撮影中に書き下ろされた主題歌「うたかた歌」(RADWIMPS feat.菅田将暉)はそのいい例であり、物語の登場人物とともに生まれた歌は、スクリーンの感動をさらに深める存在となりました。
「音楽は自分の内側を掘り下げる作業で、俳優業は自分の外側を広げていく作業です。その両方があるからこそ、表現者としての世界が広がるんです」と語っています。
野田洋次郎さんが俳優業を続ける理由はまさにここにあります。
音楽と芝居が互いに影響し合い、彼の表現世界をより豊かにしているのです。
野田洋次郎の出演作品をいくつか紹介
2015年:映画『トイレのピエタ』

俳優デビューにて初主演となった人間ドラマ。(相手役は17歳の杉咲花さん!)
ある日突然余命3か月を宣告された青年:園田宏を演じ、初挑戦ながら自然体で深みのある演技を披露し、観客に強い印象を残しました。
演技初挑戦!
ちょうどRADWIMPSのメジャーデビューから10周年で、何か新しいことにチャレンジしたいと思っていた矢先のオファー。
野田洋次郎さんを演技初挑戦に突き動かしたのは、脚本の面白さだったそうです。
松永大司監督がなぜ自分に声をかけてくれたのか、監督がどんな人なのかを知りたくて、会って話をしていくうちに自分をとても必要としてくれていることを感じたのだとか。
そして「演技レッスンも不要」だと言われたため、監督が求める自分でいようということ、自分に嘘なくいようと心がけているうち、撮影終盤には役の宏と同化。
野田は「役者ではないので、何を求められているかを考えて表現しようという大それたことは考えずに、ただ素直に役に向かおうとだけ思っていました。監督は嘘が嫌いな人だったので、演技のレッスンもやらなくていいと求められなかった。だから、この脚本を書いた監督が求める自分でいようということ、自分に嘘なくいようということだけを心がけていました」と宏と同化していった。
引用:映画.com
この作品でなんと野田洋次郎さんは第39回日 本アカデミー賞新人俳優賞に輝きました!
そしてそのまま撮影で得た感情を主題歌「ピクニック」にも込めました。

静かで儚いイメージの曲。
余命宣告を受けた宏と同化して作られた雰囲気が伝わりますね。
2017年:連続ドラマ『100万円の女たち』(テレビ東京)


こちらはドラマ初主演を果たし、100万円の家賃を払う5人の女との共同生活をする、売れない小説家:道間慎を演じて話題となりました。



俳優デビュー作の画家といい、今回の小説家といい、表現者の役がお似合いですね!
2018年:映画『泣き虫しょったんの奇跡』


将棋棋士の主人公:瀬川晶司(演:松田龍平)の親友でライバル:鈴木悠野の役を演じました。
プライベートでも親交が深い松田龍平さんの主演映画。
野田洋次郎さんは、松田龍平さんと仲がよすぎるために監督に「できなそうな気がします」と伝えたそうですが、監督に「できるよ」と言われて、信じて現場に行ったのだそうです。



何作品かで役者経験をされていても、仲の良い友人の主演映画で”慣れない役者をする”ことが不安だったのでしょうか?
2020年:NHK連続テレビ小説『エール』


主人公:裕一(演:窪田正孝さん)の友人で作曲家の木枯正人の役で出演し、シリアスからコミカルまで幅広い演技を見せました。



本業と同じ役柄なので、ギターを弾いたり歌うシーンはリアリティがありました!
2021年:映画『キネマの神様』


過去パートにて主人公:ゴウの盟友で映写技師:テラシンを演じ、映画を愛し、友の才能を信じ続ける男の温かさを見事に体現しました。
*ゴウ(過去パート・菅田将暉さん/現代パート・沢田研二さん)
テラシン(現代パート・小林稔侍さん)
本来、ゴウの現代パートを演じる予定だった志村けんさんの急逝やコロナ禍による撮影中断など困難が重なりましたが、完成後に観客へ届けられた喜びを野田洋次郎さんは「本当にうれしい」と噛みしめています。



志村けんさんが出演されるはずだったということも大きな話題になっていましたよね・・・
2024年:NHKドラマ『舟を編む〜私、辞書つくります〜』


辞書作りに情熱を注ぐ辞書編集部主任:馬締光也を熱演しました。
早口で専門知識をまくし立てる“辞書オタク”というクセの強い役柄を、ユーモアと人間味を込めて演じ、新境地を開きました。



ボサボサ頭がこんなにお似合いとは!
「音楽家」のベートーベンにも通ずるヘアスタイルですね。
野田洋次郎の転機となった山田洋次監督との出会い


幼少期から『男はつらいよ』シリーズを見て育ったという野田洋次郎さんにとって、監督は憧れの存在。
出会いはまさに転機でした。
『キネマの神様』で初めてその現場に立った野田洋次郎さんは、監督の映画作りへの情熱と人間味に深い感銘を受けました。



人生において、自分の考え方を変えてくれるほどの出会いは本当に貴重ですよね!
自分は役者だとは思っていなかった
野田洋次郎さんご自身は、長い間「自分は役者だとは思っていなかった」と語っていました。
初めて役者としての自覚を持つようになったのは、山田洋次監督との出会いが大きかったといいます。
野田:謙遜というか、役者ではない僕にオファーをしてくれたのだから役者である必要はない、みたいなひねくれた思いがどこかでありました。僕が僕でいればいいのかなと。でも、山田組はそれが許されるわけもなく、その場で4つも5つも6つも7つもつも同時に色んな演出をされて、「ここでこう動いてここでこう飲んで、ここできっと彼はこんな風な表情をして、瞬きを2~3回して」とか。煙が頭から出そうな瞬間もありましたけど、それをやっていくにつれて演じることの面白さみたいなものを教わった気がしました。(山田監督が)全力で役者として僕と向き合ってくれたのもありましたし、嬉しかったです。



山田監督の現場を経験して初めて“役者だ”と言っていいのかなと思えた
役者として全力で向き合ってもらえたことが、野田洋次郎さんの中に新しい覚悟を芽生えさせたようです。



しっかり教えてもらえる、そして信じて任せてくれる、そうやって役者:野田洋次郎としての確固たる自信が築かれたのでしょう。
ものづくりへの向き合い方
野田洋次郎さんは「ものづくりは最後の1秒まで妥協してはいけない。監督を見ていてそう教えられました。自分もできる限り情熱を持って挑みたいと思えたんです。」と心境を明かしています。



ミュージシャンとしての地位をすでに確立している野田洋次郎さん。
人生や演技における大先輩:山田洋次監督の背中を見てたくさんのことを学ばれたようですね。
この経験を通じて野田洋次郎さんは、俳優としてだけでなく表現者としての覚悟を新たにし、音楽と芝居の両輪でさらなる挑戦を続けていくことを決意しました。
まとめ
ミュージシャンとしての地位を確立している野田洋次郎さんが、なぜ俳優をしているのか?理由を調べてみました。
- デビュー10周年で何か新しいことを始めたいと思っていたところ松永大司監督から映画『トイレのピエタ』主演の話があった。
- 新しい役柄や人間の感情を体感することが、音楽にも新たな刺激を与えると知った。
- 音楽は自分の内側を掘り下げる作業、俳優業は自分の外側を広げていく作業で、その両方があるからこそ、表現者としての世界が広がる。
- 山田洋次監督に役者として全力で向き合ってもらったことが役者としての新たな覚悟を生み出した。
野田洋次郎さんは、音楽家であり、俳優であり、そして表現者そのものです。
これからもどんな役を演じ、どんな音楽を生み出すのか。
野田洋次郎さんという表現者の進化から、目が離せません。
最後までお読みいただきありがとうございました☆








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